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記事: トスカーノリスシオを使ってる理由と注意点

トスカーノリスシオを使ってる理由と注意点 - UNDERCOOLED

トスカーノリスシオを使ってる理由と注意点

1,革らしい革を求めて

 

NotSを製作するにあたり、アンダークールドの定番となる素材を決めようと考えました。レザーブランドにとって、どの素材を選ぶかというのは、製品やブランドのイメージを決定付ける重要な要素です。

 

お客様にアンダークールドに対してどのようなイメージを持ってもらいたいのかというのを日々考えて、行き着いたのは、やはり「革らしい""を使う」ということでした。アンダークールドの製品はデザインのユニークさをアピールしたいと思っていたので素材は気をてらうことことなく、単純に素材の良さだけの勝負したい。どこか温かみや懐かしさを感じる素朴さと、使うほどに味の出る革が理想です。

 

そのような基準でいくつかの素材を選定した中で最終的に選んだのが、トスカーノリスシオでした。

  

2,トスカーノリスシオのいいところ

 

・スムースレザーである

 

革の表面の加工にはいくつか種類がありますが、「革」と聞いて皆さんが想像する代表的なのは何も加工していないスベスベしたものと、小さな凸凹が不規則に並んだものではないでしょうか。

 

スベスベした表面を「スムース」と言い、凸凹を「シボ」と言ってそのような加工を「シボ有り」とか「シボ加工」などと表現したりします。写真の革がいわゆるシボのある革です。僕も当初この二つの種類どちらにするか迷ったのですが、シボ加工のある素材だとどうもカジュアルなイメージに寄りすぎてしまうと思い、自分の中のNotSのイメージに合わないと判断してスムースレザーを選択しました。

 

しかし、このスムースタイプの革は少しの傷や汚れも目立ちます。ごまかしが効かないため素材の質の良し悪しもわかりやすく、微妙な色合いやツヤ感で製品の印象が大きく変わるので取り扱いの難易度は大きいと思います。

 

ご覧のように製品にはとても使えないような状態の部位もあり裁断時にも傷や汚れがないかチェックしながら裁断する必要があります。

・繊維のキメが細かいフランス原皮 

そんなごまかしの効かないスムースレザーを使うことを決めたわけですが、そうなると最有力候補はイタリアの革になります。

 

イタリアには世界的にも有名な皮革生産地区があり、名だたるタンナーが同じ地域に集まっています。有名ブランドに素材を提供しているタンナーも多いのです。

 

これらのタンナーに集まる原皮は主にフランスやデンマークなどの牛の皮です。なぜフランス産原皮やデンマーク産原皮がいいのかと言うと、ヨーロッパではアメリカや日本よりも赤身肉のニーズがあり、比較的筋肉質な牛が多くいます。また、人間もそうですが寒冷地域の方が紫外線量の影響からか肌のキメも細かくなりやすく、このような好条件が揃うことで質のいい原皮が確保しやすいと言われます。

 

 

・手触りや匂い

 

革の違いは見た目だけではなく、手触りや匂いも全然違います。先ほど書いた原皮だけでなく、鞣し剤や革に含まれる油分の種類や量など様々な要因で変わると言われます。

 

写真で見ると一見サラサラした触り心地に見えても実際触って見るとゴツッとしていたりしっとりしていたりします。また、少々マニアックですが革の匂いというのも様々で、物によっては薬品臭いと言いますか、嫌だなと感じるような匂いもあります。(これは人により好みが分かれるところですかね)

 

トスカーノリスシオは使い始めはサラッとした手触りですが、使っていると革に浸透した油分が表面に出てきて少し吸い付くようなしっとり感がでます。匂いは言葉では表現しにくいですが、ちゃんと本革が使われてるなというのを感じていただけると思います。

 

買ったお客様が箱を開けた時に、「これは質のいい革だな」と思えるように手触りや匂いもこだわって選びました。

 

3,トスカーノリスシオの欠点

 

ここからはトスカーノリスシオの特徴と言いますか、人によっては弱点と思われそうなところをピックアップしてみます。

 

・傷がつきやすく、付いた傷も目立ちやすい

 

これはタンニンなめし、染料仕上げの革全般に言えることですが、トスカーノリスシオも例に漏れず傷は付きやすい革です。爪なんかで軽く引っ掻くだけで簡単に傷がついてしまうので、買った時のまま綺麗な状態で使いたいという人には向かない素材かもしれません。

 

個人的には、それが革らしさとも思えますし、「多少の傷や汚れは気にせず毎日ガシガシ使ってください」という感じです笑

 

こちらは現在僕が1年以上使ってるものですがご覧のように傷つきまくっていますが、僕からするといい味でてるなという感じです笑

でも新品の状態をなるべく維持したいという人がいるのもわかるのでそういう人にとってはトスカーノリスシオのような革は合わないのかもとも思います。

また、いくら傷付きやすいとは言え、新品の状態で傷がついたものを売るわけにもいかないので生産する職人さんは気を遣って取り扱ってもらわなければいけないためその辺りは少し申し訳ないなと思ったりします。

 

・ロットにより微妙に仕上がりに差がある

 

これもタンニンなめし、染料仕上げの革にはありがちな特徴(欠点?)ではあります。いわゆる「ロットブレ」と言われるもので、生産ごとに微妙に色合いや油分の浸透具合が変わります。

 

もちろんこれはタンナーさんの作り方が適当ということではありません。革というのは、とてもデリケートな素材で、全く同じレシピで作ったとしてもその時の気候や湿度などによって微妙に出来上がりに差ができてしまうものです。例えるならラーメン屋さんのスープもその日仕入れた豚骨やガラによって味が微妙に変化してしまうように毎回同じ革を作ることは至難の業です。また、革作りの場合はラーメン屋さんのように味見をしながら材料や水を入れて味を調節することもできないので職人さんの勘に頼る部分も大きく難易度はさらに高いと思われます。

 

なので、アンダークールドでも仕入れ分によって素材の出来が微妙に違うことがあります。ですが、これも革の一つの特徴だと思い欠点と思わずにお客様にはこのようなロットブレも含めて革を楽しんでもらえると嬉しいなと思います。

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